ビワ(枇杷)の概要

びわ灸で用いるのは、枇杷(ビワ)の葉やビワ葉エキスですが、ビワ葉について解説する前に、まずは枇杷(ビワ)そのものについて解説いたします。
ビワはバラ科ビワ属に分類される常緑高木で、その果実も含めて「ビワ(枇杷)」と言い、英名は「Loquat(ロウクワット)」。
分類(APG III:被子植物の分類体系) | |
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界 | 植物界 Plantae |
階級なし | 被子植物 angiosperms |
階級なし | 真正双子葉類 eudicots |
階級なし | バラ類 rosids |
亜科 | ナシ亜科 Maloideae |
属 | ビワ属 Eriobotrya |
種 | ビワ E. japonica |
ビワの原産地は中国(China)の南部地方で、高さは約10mほどになります。
現在では、ビワの多くが果樹として栽培され、葉は縦が20㎝前後と大きく濃い緑色で長い楕円形をしており、表面にはツヤがあり裏には産毛があります。
また、ビワの果実は楽器の琵琶に似た形をしているため「ビワ」と呼ばれるようになったという説もあります。
主な産地は、年平均気温15度以上の亜熱帯や温帯地域で、最低気温が-5℃以下にならない地域が栽培に適しているといわれています。
したがって、日本では千葉県より北での栽培は少ないのですが、近年の温暖化によって栽培可能地域が北に広がる可能性があります。
ビワ葉の成分と効果
ビワの葉の成分としては、ぶどう糖・ショ糖・果糖・マルトース・でんぷん・デキストリン・酒石酸・クエン酸・リンゴ酸・アミグダリン・タンニン酸などの有機酸があり、また、去痰作用のあるサポニンが含まれているという分析もあります。
その他には、人間に必要とされる様々なビタミンやミネラルも豊富に含まれています。
特に、ビワやウメ、アンズやモモなどのバラ科植物の葉や未成熟な果実や種子などに含まれる「アミグダリン」という青酸配糖体が注目された時期があり、現在でも議論を呼んでいます。
ビワ葉の薬効はアミグダリン?
日本では、昭和の初期にビワの葉療法でガンを治療する研究がすすめられ、一定の効果が確認されましたが、その後の戦争で一時は表舞台から姿を消しました。
戦後になって、アメリカの生化学者があんずに含まれている特殊な成分に着目し「レートリル」と名付け、またレートリルはビタミンとも似た働きがあると考え「ビタミンB17」と呼ぶようになり、レートリル(ビタミンB17)はアミグダリンであることもわかりました。
そして、この学者は「ビタミンB17に強い抗ガン作用がある」と唱え、ビタミンB17をガン患者に大量に注射するという療法を普及し始め、一時は本まで出版され、翻訳版は日本でも話題となりました。
しかし、近年になってアメリカの公的機関でその理論は否定され、また日本でも注意喚起がされるようになったのです。
また後に、レートリルがビタミンの一種であることも科学的に否定されています。
ビワの葉の療法(びわ灸)の効果
このように、西洋医学的なアプローチでは、古くからビワが健康や疾患の治療にまで利用されてきた科学的な立証は確立されていません。

しかし、ビワの葉の療法(びわ灸)がその優れた効果を認められるのは、アミグダリンなどの成分だけの作用ではなく、ビワ葉に含まれる他の成分や未知の物質まで、人工ではできない絶妙なバランスがあるからだと考えられています。
このことは、玄米食や薬草療法などの自然療法全般に言えることで、ビワの葉の療法(びわ灸)も同じく、命を生み出した自然の力そのものを歴史と実践に裏付けられた方法で上手く利用しているのです。
この点が、人工的に薬効成分だけを抽出して使う現代医学と決定的な相違点です。
びわ灸の効果として、特に実感しているのは「痛み」に対する緩和効果と施術後の「体温上昇効果」で、体温は1℃くらい上がるため、自然治癒力を確実に亢進していると考えています。